会社都合退職の失業保険はなぜ手厚い?優遇の中身と見落としやすい条件
リストラや倒産で職を失うと、生活の不安が一気に押し寄せます。ただ、会社都合の退職には自己都合より手厚い扱いが用意されています。
結論から言うと、会社都合退職は給付制限がなく早く受け取り始められ、給付日数も長くなりやすいのが特徴です。同じ給料の人でも、この区分の違いで総額が大きく変わることがあります。
会社都合かどうかは離職票の区分で決まります。まずは自分がどちらに近いか、かんたん受給診断で60秒の目安を見ておくと、この先の話が読みやすくなります。
会社都合退職(特定受給資格者)とは
会社側の事情で辞めざるを得なかった人を、失業保険では「特定受給資格者」と呼びます。自分の準備が整う前に職を失った人を、より手厚く支える区分です。
代表的なケースは次のとおりです。
- 倒産や事業所の廃止による離職
- 解雇(本人の重大な責めによるものを除く)
- 大幅な賃金の引き下げや、賃金未払いが続いたことによる離職
- 長時間労働やハラスメントが原因の離職
契約期間の満了や、正当な理由のある自己都合は「特定理由離職者」として、会社都合に近い扱いになることがあります。どちらの区分になるかは、最終的にハローワークが実態を見て判断します。
会社都合が手厚い2つの理由
優遇される理由は大きく2つです。1つは給付制限がないこと。もう1つは給付日数が長くなりやすいことです。
自己都合だと、申請してから支給が始まるまでに給付制限の期間が入ります。会社都合にはこれがありません。待期の7日が明ければ、比較的早く支給が始まります。
日数の面でも差が出ます。会社都合は年齢と加入期間によって、最長で330日程度まで長くなることがあります。自己都合との具体的な違いは自己都合の失業保険もあわせてご覧ください。
給付日数の目安(年齢×加入期間)
特定受給資格者の所定給付日数は、年齢と加入期間の組み合わせで決まります。下の表は一般的な目安です。
| 年齢の目安 | 1年未満 | 1〜5年未満 | 5〜10年未満 | 10〜20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | — |
| 30〜45歳未満 | 90日 | 90〜180日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 45〜60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60〜65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
自己都合(一般)の原則90〜150日と比べてみてください。会社都合は年齢と加入期間によって、大きく上乗せされることがわかります。
上の日数は一般的な目安です。区分や運用は見直されることがあり、実際の日数は加入状況や退職理由、ハローワークの判断で決まります。受給を保証するものではありません。
区分の違いで総額はどれだけ変わるか
ここがいちばん大事なところです。同じ給料でも、会社都合か自己都合かで受け取れる総額が変わります。日数そのものが違うからです。
たとえば45歳・加入10年、基本手当日額が6,000円の人を考えてみます。あくまで一例で、結果は状況によります。
- 会社都合(270日)の場合:6,000円 × 270日 = 約162万円
- 自己都合(120日)の場合:6,000円 × 120日 = 約72万円
差はおよそ90万円。区分が変わるだけで、これだけ開く可能性があるのです。さらに自己都合には給付制限があるため、受け取り始める時期も遅くなります。
注意したいのは、実態は会社都合に近いのに、離職票では自己都合として処理されてしまうケースがあること。この一枚で90万円規模の差が生まれることもあります。
ハローワークや協会けんぽは、制度や手続きの案内をしてくれます。ただ、有利な区分をどう主張するか、退職前後に何をそろえておくかという材料づくりまでは、相談する側の準備にゆだねられます。どちらも無料で頼れる窓口ですが、線引きはそこにあります。
離職理由の区分に納得がいかないときほど、早めに状況を整理しておきたいところです。判断に迷ったら、抱え込む前にLINEで相談してみてください。
いくらもらえる?金額の目安
1日あたりの基本手当日額は、退職前6か月の賃金をもとにした賃金日額の、おおむね50〜80%が目安です。年齢区分ごとに上限額も決められています。
総額のイメージは「基本手当日額 × 所定給付日数」。会社都合は日数が長くなりやすいため、同じ日額でも自己都合より総額が大きくなる傾向があります。自分の場合の目安はかんたん受給診断で確認できます。
受給に必要な条件と見落としやすい点
会社都合(特定受給資格者)は、必要な加入期間がゆるやかになります。
- 加入期間の目安:離職前1年間に、被保険者期間が通算6か月以上
- 共通の条件:働く意思と能力があり、求職活動を行うこと
見落としやすいのが、区分は最終的にハローワークの審査で決まるという点です。離職票の記載が実態と食い違っていると、思っていた日数より短くなることもあります。
在職中は、退職理由の説明も書類のやりとりも会社が窓口になってくれることが多いものです。ただ退職後は、会社がこちらの言い分どおりに書いてくれるとは限らず、区分をめぐるやりとりも自分で進めることになります。
体調や生活の立て直しで気持ちに余裕がない時期に、慣れない区分の話を期限内に整理し続けるのは、負担の大きい作業です。
制度の基本は失業給付(基本手当)とはに、病気やけがですぐ働けない場合の受給期間の延長も別記事にまとめています。
まとめ:早く・長く支えられる区分
会社都合退職は、自分の意思でない離職だからこそ手厚く保護されます。ポイントは3つです。
- 給付制限がなく、比較的早く受け取り始められる
- 給付日数は年齢×加入期間で、最長330日程度まで長くなることがある
- 区分は審査で決まり、その違いで総額が大きく変わることがある
どの区分に近いか、いくらが目安かを知るところから始めましょう。下のかんたん診断なら60秒で確認できます。納得のいかない点があれば、そのままLINEで相談できます。診断書は不要で、しつこい勧誘もしません。やりとりはLINEだけで進められます。
本記事は一般的な制度の解説です。個別の受給可否・金額・要件は加入状況や保険者・行政の判断によります。最新の正確な情報は、各保険者・ハローワーク等でご確認ください。