うつ病で退職するとき|傷病手当金を取りこぼさないための注意点
心がつらくて、仕事を続けるのが難しい。そんなとき「辞めたあと、生活はどうなるのか」という不安が、退職をさらに重くしてしまうことがあります。
実は、働けない期間の生活を支える制度はいくつかあります。心の不調でも対象になりうるものもあります。ここでは、うつ病など心の不調で退職するときに知っておきたい制度と、受け取る順番、療養中につまずきやすい場面を整理します。
まず、つらいときに一人で全部を調べきる必要はありません。今もらえそうなものの目安だけ知りたいときは、かんたん受給診断で60秒の確認から始められます。
まず、無理をしなくていい
つらいときほど「もっと頑張らないと」と自分を追い込みがちです。でも心の不調は、気持ちの弱さではありません。休養と適切なケアが必要な状態のことがあります。
退職や休職を考えることは、逃げではありません。生活を立て直すための、正当な選択肢のひとつです。お金や手続きの話は、少し落ち着いてからでも間に合うものが多くあります。
心の不調でも、傷病手当金の対象になりうる
傷病手当金は、病気やけがで働けないときに健康保険から支給される生活保障です。身体の病気だけでなく、うつ病など心の不調でも対象になりうる制度です。
金額や期間の目安は次のとおりです。
- 金額の目安:標準報酬日額の約3分の2(月収のおよそ65%)。月収30万円ならひと月およそ20万円が目安です
- 支給期間:通算で最長1年6か月(18か月)
- 主な要件の目安:療養のため働けないこと、連続して休んだ期間があることなど
医師の意見など所定の要件を満たす必要があり、受け取れるかどうかは健康保険の審査で決まります。誰でも自動でもらえるわけではありません。ただ、心の不調だからと最初からあきらめる話でもありません。制度の基本は傷病手当金とはで詳しく解説しています。
在職中と退職後で、つまずく場面が変わる
傷病手当金は、一定の要件を満たせば退職後も継続して受け取れることがあります。退職日まで健康保険に続けて加入していた期間があること、退職時に働けない状態だったことなどが条件です。「退職したら終わり」とは限りません。
ここで気をつけたいのが、在職中と退職後の落差です。在職中は、事業主が休んだ期間を証明する欄を記入し、提出も会社経由で進むのが一般的です。
ただ退職後は、会社がそこを書いてくれるとは限りません。提出も自分で進めることになります。継続して受け取るには、毎回その都度の申請も必要です。ここが、実はいちばんつまずきやすい場面のひとつです。
焦って失業給付に動かなくていい
退職後というと「すぐにハローワークで失業給付」と考えがちです。けれど失業給付は、働く意思と能力があり求職活動ができることが前提です。まだ療養が必要な時期に、無理に動く必要はありません。
働けない間は傷病手当金を受け取り、失業給付は受給期間の延長を申請して取っておく。これが順番の基本です。順番の考え方は受給のしくみもご覧ください。
ハローワークや協会けんぽは、制度や手続きの案内をしてくれる、無料で頼れる窓口です。ただ、働けない間と働けるようになってからの受け取り分けを、どの順で組むかという設計は、自分で考えるか、誰かと一緒に確認することになります。
順番を知らないと、どれだけ損するか
順番を取りこぼすと、もらえたはずのお金が減ることがあります。一例で考えてみます。
月収30万円の人が、療養が必要なのに退職直後すぐ失業給付へ動こうとしたとします。失業給付は働ける状態が前提なので、働けない時期には受け取れません。そのうえ受給期間の延長を申請し損ねると、回復後に受け取れたはずの分まで取りこぼすことがあります。
一方、働けない間に傷病手当金を申請し、失業給付は延長して取っておく。この順番なら、傷病手当金はひと月およそ20万円が目安で、通算最長18か月まで受け取れる可能性があります。同じ状況でも、順番ひとつで結果は大きく変わります。これはあくまで一例で、結果は加入状況や審査によって変わります。
療養中にこの順番を一人で組み立てるのは、簡単ではないかもしれません。心配なときは、抱え込む前にLINEで一緒に確認しましょう。LINEで相談は、診断書も不要で、聞くだけでも大丈夫です。
療養中の「書類を続ける負担」を軽く見ない
ここで止めておきたいのは、あなたに手続きが難しい、という話ではありません。問題は能力ではなく、状況です。
心の不調で療養している時期に、慣れない書類を期限内に不備なくそろえ続けるのは、負担が大きいものです。傷病手当金は一度出して終わりではなく、継続のたびに申請が要ります。医師の意見をもらう段取りや、退職後の証明のやり取りも重なります。
体調が万全でないときに、こうした作業を毎回こなし続けるのは、回復のさまたげになりかねません。だからこそ、何を・どの順番でそろえるかを一緒に整理する相手がいると、気持ちが少し軽くなることがあります。
知っておきたい相談先
つらいときに、すべてを自分で調べて手続きするのは大変です。相談先を分けて持っておくと安心です。
| 相談したいこと | 主な相談先 |
|---|---|
| 心の不調・体調 | 主治医・心療内科・精神科 |
| 傷病手当金の手続き | 加入していた健康保険(協会けんぽ・健保組合等) |
| 失業給付・求職 | ハローワーク |
| 心の悩み全般 | 自治体の相談窓口・公的な相談ダイヤル |
頼れる先を一つでも多く持っておくことが、つらいときの力になります。
まとめ:あきらめる前に、まず知る
心の不調で退職するとき、お金の不安は大きいものです。でも、使える制度と相談先があります。
- うつ病など心の不調でも傷病手当金の対象になりうる(可否は審査による)
- 一定の要件を満たせば退職後も継続して受け取れることがある
- 働けない間は無理に失業給付へ動かず、受給期間の延長で取っておく
- つまずきやすいのは退職後の証明と、継続申請を続ける負担
退職後の手続き全体は退職後にやるべきお金の手続き7つ、生活費の不安は退職後に生活費が不安なとき、まず見直す固定費もあわせてどうぞ。
何がもらえそうかの目安はかんたん受給診断で確認できます。順番や書類で迷ったら、LINEで相談へ。しつこく勧誘はしません。LINEだけで進められます。
本記事は一般的な制度の解説です。個別の受給可否・金額・要件は加入状況や保険者・行政の判断によります。最新の正確な情報は、各保険者・ハローワーク等でご確認ください。